2019/09/01
雉編集室 エッセー 72
内藤英子

 『八月と平和』

 今年も広島に八月がやって来た。
74年前の私は、今は東広島市となっている河内町の河戸国民学校3年生だった。8月6日は夏休みなのに何故か学友達と登校していた。
 すると先生からの指示があり、裏山に避難せよとのことだった。私達は上級生を先頭に山道を登った。やがて解除の知らせがあり、みんなと下山の途中、ふと見上げると、見たことのない薄いピンク色の丸いかたちの綿雲がふんわり浮いていた。みんなは、不思議な型をしたその珍しい雲の色を見ながら学校に着いた。後で解ったことだが、それが何と、きのこ雲と名づけられたものだった。今でもあの薄ピンク色の丸型の浮雲は目に焼きついて離れない。

  きのこ雲見しふるさとの夏の道  英子


檜垣恵子

 『鳥の糞だめし』

 ごみを捨てに勝手口を出ると、蜘蛛の糸に引っ掛かり思わず大きな声を発してしまう。そんなことがたびたびあり、気味悪いので取り払うが、直ぐに張りなおし、獲物を沢山囲っているのを見掛けるので、反射的に振り払ってしまう。
 そんな蜘蛛の仲間に形や独特な色彩の蜘蛛がいるそうである。
 鳥の糞に似ているもの、赤く天道虫かと見間違いそうなものや、蟷螂の顔に見えるようなもの、ただ普通の蜘蛛といえば脚ばかりが目立つが、この種類は腹部が大きく蜘蛛であることに気づかないようである。
 とかく動物はオスの方が美しく、メスが地味と言うのが知られているが、このトリノフンダメシは違うようである。
 昼間は草蔭で過ごし、夜になって網をはるが、普通の蜘蛛のように緻密なものではなく、特殊な糸がある大雑把な網で、自分よりも大きな餌を捕らえることができるらしい。
 蜘蛛は薄気味わるく好まないが、身近にこのような面白い蜘蛛がいるらしく、一度じっくり蜘蛛の囲を観察して見たいものである。


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